基準地価回復と、企業のエリア戦略を考える

2023年基準地価がコロナ禍前に回復

2023年9月に国土交通省から公表された基準地価が、コロナ禍を克服しました。

全用途の上昇割合が全国の44.7%にのぼり、新型コロナ禍で沈んだ地価が、倍増した状態です。

国内不動産建築投資と、訪日客、そして再開発のトリプル効果で、不動産価格の上昇が起きています。

地方に広がる地価の上昇?

とりわけ、特徴的なのは、下落が続いていた地方圏に、不動産価格の上昇は広がり、上昇が全国規模となっている点です。

地方圏の商業地は、4年ぶりの上昇となり、特に地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)の商業地は0.5%上昇と、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)の0.4%上昇を上回りました。

回復格差が開く地方

しかし、このような地価の上昇は、全国一律の経済の活性化を意味してはいません。

コロナ禍で、企業の地方への移転が起きたかに見えましたが、コロナ禍の終焉とともに、東京23区への転入社数が大きく伸び始めました。

23区への転入は、2023年は、対前年比で13%伸びました。

経済の正常化で、企業が対面の仕事に戻り、その流れの中で、都心の利便性に、再び企業が目を向け始めております。

これは、一旦、コロナ禍で、リモート業務への移行を、なかば強制された企業が、それをやってみた結果、生産性が悪化し、再びリアルな対面の仕事に急速に戻っていることからきている現象です。

地方のエリアでは、企業や個人から選ばれる地域と、ヒトに去られてしまう地域の格差が開いている状態が進行しています。

格差を利用する戦略も、今後はアリか?

一方で、ヒトが去っている地方も、手をこまねいているわけではありません。

過疎エリアへの企業を誘致するための大型の予算を組み、人口減による廃校した学校をオフィスに変えて、賃料を地方行政が負担する、あるいは、企業版ふるさと納税を活発化させるために、行政が企業に対して「汗をかく」活動をするなど、新たな発想で、企業を誘致する活動も活発化しています。

これらの地方行政の政策を企業が活用すると、思わぬメリットが生まれることもあります。格差が開く地方を利用する戦略もアリ、ということです。

都心の利便性、地方の行政の優位性。こういった面を多面的に考慮しながら、企業の戦略を練るのも、また今後の経営にとって重要な課題だと思います。

続く

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