産業革命から、平均気温で1.6℃上昇のインパクト
国連の世界気象機関(WMO)は、パリ協定が目指す産業革命前からの気温上昇抑制幅「1.5度」を、今後5年以内に超える可能性が高いと発表しました。そして、日本の気象庁は、2024年は観測史上最も「暑い年」として、日本の平均気温が1.6℃上昇していたと公表しました。
このままの状態を継続すれば、22世紀には、産業革命以前の気候から平均気温2℃上昇の状態まで立ち至ると予測されています。鉄道の線路が熱で運航できなくなり、滑走路の過熱で、飛行機の離着陸も困難となるという悪夢が、現実になります。
2023年から2024年にかけて、アフリカは記録的な干ばつに見舞われました。地球温暖化の事態は、既にアフリカに7億人の飢餓を生み出すに至っており、22世紀に向けて、人類100億人時代に最も人口が増えるアフリカが飢餓に見舞われる事態は、人類の未来に、暗澹たる影が忍び寄ってくる悪夢を連想させます。
環境問題に後ろ向きのトランプ政権誕生で、更に地球環境問題は後手に
このような緊急の事態に向けて、世界の各国は、連携して、その事態を防がなければなりません。
そんな最中に、アメリカでは、環境問題に後ろ向きで同盟国との協力さえ無視しがちな、トランプ政権が誕生することが決まりました。これによって、人類の環境問題に対する取り組みはかなり後手に回るのではないかと予測されています。
世界は、トランプ政権の中でも出来る限りの連携を模索し、この地球環境問題に取り組まなければ、取り返しのつかない時代を迎えることになるでしょう。
熱波・豪雨、そして海面上昇
地球温暖化は、途上国だけでなく、先進国にも大きな影響を与えています。アメリカ・欧州・日本でも、異常な熱波やゲリラ豪雨が増えており、今後も更に増大する見込みです。
日本においても、集中的な豪雨による洪水の危機や、熱波による健康被害が増えると予測されています。特に日本では、洪水浸水危険地域に、今、新興住宅が増えて人口の流入が進んでいます。洪水危険地域は、比較的地価が安いため、ここに開発が進み、住宅が増えているためです。
そうなると、今後、集中豪雨による住宅被害や人身被害が、政府の想定値を上回ることになり兼ねません。
企業も災害対策を無視できない時代に
地球環境問題は、途上国・新興国・先進国のすべてを含む人類の未来に、大きな不安を与える問題です。当然、その不安は企業の経営リスクにも直結します。
激甚の集中豪雨による、ビジネスや物流の停止や顧客の購買活動の停止。
更に激しい熱波による、営業マンの外出不能や通勤の困難化。
そして、未来に想定される熱による鉄道や航空の停止。
企業も、他人事ではなくなる時代が、そこまで来ています。
ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営目標の一部に採り入れ、営利活動とESGをともに考えてゆく企業活動が、今後、一層求められるようになるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
続く