今、「ゼブラ企業」という言葉が注目されています
経営、とりわけ世界の企業投資家の世界で、「ゼブラ企業」という言葉が注目されています。
皆さん、聞いたことはありますか?
この言葉が最も早く使われ出したのは、インパクト投資に関する関連用語として、です。
企業への投資に巨額な資金が集まる世界のエリアは、イギリス ロンドンのシティや、アメリカ合衆国 ニューヨークのウォール街です。
このエリアでは、今、インパクト投資が、大きな主流になっています。
インパクト投資とは、社会に対するインパクトの大きな事業に投資を行う、という考え方です。従来、企業のエクイティファイナンスである投資は、株価収益率などに代表される利益に対する指標で評価されてきました。
過去と現在の利益を基準に、それと比較して、株価がどのような水準になるかを検討し、利益に対して割安な企業に投資を行うのが、投資家の基本スタンスでした。ベンチャー投資についても、上場による利益価値に対する投資でした。
しかし、VUCAと呼ばれる不安定な時代に突入した今、過去や現在の利益で、将来の利益が図れる可能性がどんどん低下しています。将来を予測し、将来生み出す価値に投資をしなければ、投資家の未来のリターンは生まれません。
そこで、現在、シティやウォール街で非常に重視されつつある指標が、従来の投資の分析とは一線を画した、インパクト投資です。
社会に強いインパクトを与える事業は、仮に、時代が不安定でも、未来に渡って付加価値を生産しつづけられるため、未来に価値が生まれますので、VUCA時代の投資対象として非常に魅力があります。
一方、仮に、過去や現在に利益があがっていたとしても、競合とさして差別化できていない事業や、製品ライフサイクルの中で成熟化してしまった事業(成長ベクトル論でいう、「金のなる木」と表現される事業)には、利益があがっていても投資を行わない、という姿勢が生まれます。
これが、インパクト投資です。
では、どのような企業が、VUCA時代に突入した今後、投資家から最も価値があると評価されるかというと、現在の利益があがり、かつ、事業が社会に強いインパクトを与える企業ということになります。
このように、二つの色(白と黒)が、はっきりと外部に示されている企業を、ゼブラ企業と呼びます。
ゼブラ企業は、投資家にだけ好かれるわけではありません。
企業に入社する人、従業員からの評価や、定着率も上がります。
人は、単に賃金を得るためだけに働くわけではありませんので、ゼブラ企業は、従業員の仕事のモチベーションもあげます。
また、メディアからの注目を集めますから、費用をかけないで知名度をあげていく広報の観点からも、非常に良好な企業ということになります。
これまで、企業は、利益をあげれば勝ち、という観点で見られることが多かったと言えます。しかし、今、利益だけを追求する企業は、各方面から、真っ黒い馬と見られます。
一方、インパクトだけでは、企業は存続できません。これは、ひ弱い白馬ということになってしまいます。
白と黒が、きれいに身体にあらわれて見える美しいシマウマが、今後、資金調達面でも、人事労務や採用面でも、マーケティング面でも、圧倒的な優位性を発揮する時代になってきます。
企業は、シマウマを意識して、成長をして参りたいですね。
以上、ご参考になれば、幸いです。
続く