「お車代」は、損金で落ちるでしょうか?

サイトなどで調べても、税務署から損金否認をされる経費があります

今回は、会社の経費(会計上の費用)で計上した内容が、税務上の損金として認められるかどうかのお話です。会計上の費用として認められても、税務上の損金として認められない項目がありますが、今回、とりあげる「お車代」のような、微妙な項目は、一律に判断が非常に難しく、一律に論じられない内容です。

最近は、インターネットの世界にも、税務に関するコンテンツ情報が溢れています。SEO対策で、盛られたコンテンツも散見します。税務に関するコンテンツも、公認会計士や税理士でない方も書かれておられます。このようなコンテンツを読んで従っても、税務署がその通りの見解で判断をしてくるわけでありません。ベテランの経理の方なら、ご承知の通りです。

このようなことが起きる典型的な事例の一つが、「お車代」が損金で落ちるかどうか、の扱い方です。

「お車代」が損金で落ちる基準は、あるのか?

「お車代」とは、例えば、社内の催しなどにお越しいただいたお客様などに、担当者から、「お礼」としてお渡しする現金、と考えてみましょう。

まず、争いのない原則論から行きましょう。

「お車代」を、税務署が、ほぼ争いなく損金として認めるのは、100,000円以内の交通費を、その方のご自宅からお越しいただく場所までのチケットを会社で購入し、それをお渡しする場合です。チケット購入には、勿論、会社名義の領収証がありますから、これを旅費交通費(場合によっては交際費)として計上すれば、中小企業であれば、まず損金に計上して問題ありません(大企業の場合、そもそも交際費が損金で落とせない場合は、別の問題が出てきます)。

税務当局は、これは「お車代」と考えてくれると言っていいでしょう。

ここで、100,000円以内としたのは、交通費は、通勤交通費の所得税の源泉徴収対象から外せる限度額が、100,000円だからということで、そのように限定させて記載させていただきました。

国税不服審判でも、とても争われるケースが多い、「お車代」

さて、ところが、普通、会社で、「お車代」を渡す場合というのは、上記のような事例ではありませんね。領収証をいただかずに、現金を封筒に入れてお渡しする、ということになります。

もし、御社に顧問の税理士さんがおられて、税理士さんに相談しますと、多くの税理士さんは、「このようなことを辞めたほうがよいです」と指導されると思います。ただ、中には、「香典やお祝いと同様に、大丈夫。」と指導される先生もおられるかもしれません。税理士さんによっても、指導の内容が異なる項目なのです。そして、サイトのコンテンツにも、後者のような事例で、大丈夫と書いている記載が見受けられます。

実際、確かに、香典やお祝いについては、常識の範囲内で、損金として交際費の計上が認められるので、お車代も、それに倣っていいという観点からの判断といえます。

しかし、限度の問題ということもあると思いますが、これを、かなりの人数・期間にわたって行い、目立ってしまうと、税務調査で、ここに注目をされ、結果的に、損金否認を受けるということが、ありえるわけです。

国税不服審判でも、損金と認められるケースと、認められないケースが混在しています

実は、「お車代」は、国税不服審判に持ち込まれるケースが非常に多い項目の一つです。つまり、それだけ、統一的な基準がなく、「常識の範囲」という解釈で、担当官によっても、かなり、ばらつきがあるのではないか、という推測ができる項目が、お車代であると思います。

勿論、国税不服審判が多いということは、その判断が蓄積されているということを意味します。そうしますと、認められる範囲には、ルールが形成されているわけです。

このルールは、どうやら次のような判断項目に従っているようです。

要は、相手方が明瞭であり、お渡しする状況・その目的やメリットがはっきりしており、かつ、金額や頻度が適切であるか否か、という点が、ポイントです。税務調査では、本当に、それが、会社の営業上、メリットになる(つまり今後の収益の獲得につながる)のか、役員やオーナーに、まわりまわって、入るような使い方を疑われないか、という点が、判断のポイントになっているようです。

是非、お車代を交際費として損金で落としたいとお考えの企業様は、単に、「車代は損金になるか」と税理士さんに、一律にお聞きするのではなく、次のような詳細な項目を書類にして、税理士さんに示し、その可否をご相談されることをお勧めします。

  • お渡しする相手方の会社名やお名前
  • その会社と自社の関係
  • 車代をお渡しするメリット
  • お渡しする状況(例えば、ご講演のお礼や、パーティでご祝辞をいただく相手など)
  • 金額
  • 頻度(お渡しする回数)
  • 領収書がいただけるか否か

このような項目がはっきりしており、関係性や、お渡しすることによる当社の営業上のメリットがはっきりしていて、金額や回数が妥当であれば、おそらく、税理士さんも、「これなら問題ないでしょう。」と判断されると思います。

以上、参考になれば光栄です。

続く

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