テレワーク時代のオフィススペースの活用を考えましょう

ソーシャルディスタンスがもたらした、仕事へのワーカーの意識変化

2020年3月から、世界を襲った新型コロナ禍。ソーシャルディスタンスが叫ばれ、ウイルス蔓延防止の観点から「密」を避けることの重要性が、政府や地方自治体から、繰り返し発信されました。

そして、オフィスワークでは、コロナ禍前から注目されていたテレワークが、コロナウイルスという「黒船」の外圧を受ける形で、急速に、企業に導入され、多くのワーカーが、テレワークを受け入れることを余儀なくされました。

新型コロナ禍は、ワクチンの普及とともに沈静化してゆくでしょう。一方で、多くの自分の力で仕事を進められる自立したワーカーには、やむなく行ったテレワークへの移行は、むしろ、生産性の向上に役立ったと認識されています。このようなワーカーの意識変化の中で、今後、アフターコロナへ時代が移行した時、
「では、元通り。毎日、9時から18時まで会社に出勤してください。」
と従業員にはっきりと言える企業が、どれだけあるでしょうか?

オフィスでの勤務には、よい意味でも、悪い意味でも、濃密な人間関係が避けて通れません。

オフィスワークでは、生産性の低い会議にも、嫌とは言えずに出席をしなければならないですし、毎日顔をあわせる上司や同僚のすべてが、毎日会いたい人ばかりでは、ありません。

会社というところは、業務の生産性だけを追求する組織ではなく、ヒトとヒトが、関係することが不可避な社会なのです。新型コロナ禍は、テレワークという手段を企業に導入せざるをえない事態を齎しました。そして、このような、社会としてのオフィススワークを、生産性向上にとって、有益ではないと考える、自立したワーカーたちに、
「オフィスに行かなくても、仕事はできるではないか。」
という意識の、パンドラの箱を、空けさせてしまったともいえます。

おそらく、多くの自立したワーカーが、この意識を抱いた今、新型コロナ禍が去ったとしても、このワーカーの意識は、もう、もとに戻らないでしょう。

ですから、もし、
「では、元通り。毎日、9時から18時まで会社に出勤してください。」
ということを、従業員に強制する会社は、自立したワーカーから見放される可能性があるでしょう。

新型コロナ禍では、多くの新規求人が留まった状態にありました。経済が復興すれば、一気に、求人が増え、ヒトが流動化しはじめます。その中で、企業が、人事政策を間違えれば、せっかく、コロナ禍に耐えて、給与を出し続けた従業員が、一斉に、会社を見限る可能性があります。

そうなれば、経済復興に向けた、貴重な戦力を、会社は失ってしまいます。

このような背景を考えれば、多くの企業で、テレワークを辞めて、完全に元の状態に戻すことは、おそらく、もうできないでしょう。

テレワーク時代には、オフィスが本当にいらなくなるのでしょうか?

では、このようなテレワークが定着する時代に、オフィスというものが、不要になるのでしょうか?

確かに、新型コロナ禍 第一波の後の、2020年6月あたりから、IT企業を中心に、オフィスを縮小する動きが起きていることは事実です。しかし、もう一方で、テレワークだけで、仕事が完結するから、オフィスをなくして、固定費コストを全面的に削減しよう、という企業は、今のところ、殆どありません。

ヒトとヒトが関係することが不可避な社会である「会社」というところでは、その場所としてのオフィスにおける人間関係に、良い面もたくさんあるからです。

先輩が後輩に仕事を語り、教える。
上司や同僚のアドバイスが、モチベーションを向上させる。
社員同志(男女が多いですが)の生涯の出会いの場を提供する

人間は、社会的な動物です。社会をなくして、たった一人の個だけで、仕事や生活を長期的に進めることは、できません。生産性を、たった一人で上げ続ける、人工知能的な仕事を、ヒトはできないのです。通勤時間や、人間関係の接触がなくなれば、短期的な生産性はあがるかもしれませんが、長期的にみれば、それは、生産性を低下させる要因になってしまいます。

テレワークが、今後、仕事の中で欠かせない要素になるとしても、オフィスは、殆どの企業で残っていきます。

島形のオフィスは、テレワークとオフィスワークが併存する働き方には、あわない

では、テレワ-クが浸透し、そこにオフィスワークが同時並行する場合、従来のオフィスは、機能的といえるでしょうか?

これまでの日本のオフィスというのは、島形と言われる形が殆どでした。

島形オフィス

島形のオフィス

一つの島に、課長さんの席が「お誕生日席」の形で配置され、その前に、向かい合うように、社員が机を並べるのが、島形の机の配置です。課長が、課のスタッフ全員の顔を一望して見渡せるのが、島形の特徴で、いつでも、課長が課のスタッフ全員に話しかけて、打ち合わせができる形態です。そして、各島が並列的に配置された、その奥に部長の席が配置されるような形が、これまでの典型的なオフィスの机配置でした。

島形の配置は、課を単位にしたマネジメントが最も行いやすい形態で、その課の集合体である部を、部長から見渡せる工夫でもありました。

しかし、今後のオフィスでは、テレワークとオフィスワークが併存するスタッフが、連携をとることになります。常勤の社員が、常に同じ席に座ることを想定した島形のオフィスは、非常に無駄が多くなります。

テレワークとオフィスワークが併存する働き方をしている企業が、オフィスを島形にし続けると、常に、ヒトが歯抜けだらけのオフィスになってしまいます。それでは、マネジメント上の機能が不十分であるだけでなく、固定費コストを生むオフィスが効率的に運営されているとはいいがたくなります。

本社が自社ビルである場合には、資産が生み出す収益性(総資産利益率)が低下しますし、賃貸物件であれば、固定費コストが利益を圧迫し、経営リスクが高まります。

従って、テレワークとオフィスワークが併存する働き方が定着する企業の場合、オフィスの形態を、従来の形から、見直すことが、コストパフォーマンスの上では、必要となります。

テレワークとオフィスワークが併存する時代のオフィスの姿とは?

では、どのようなオフィスが、今後の働き方にとって、理想でしょうか?

その答えの一つが、フリーアドレス型と言われるオフィスです。

フリーアドレス型のオフィスとは、従来のように社員がそれぞれ持つ個人専用のデスクを辞め、フロアーに長机や椅子が設置されているところに、ワーカーは自由に着席する場所を選んで仕事をする形態のオフィスです。

ソファーなどのスペースが用意されていることもあります。デザインによっては、まるでカフェのようなイメージにすることも可能です。

社員は、個人用のロッカーにPCなどの個人用の業務用品を収納し、出社をした段階で、必要なものを取り出し、自分の仕事のスタイルにあった場所や机・椅子を選びます。そして、ミーティングをする場合、そのメンバーで集まって実施します。

各位のスケジュールや業務の指揮・連絡は、グループウエアによって共有され、ミーティングの場所や時間の連絡も、グループウエアで行われます。

業務のツールは、ノートPCと無線LAN、もしくは、タブレット端末やスマートフォンとなり、テレワークでも、オフィスでも、同じパフォーマンスの仕事ができるようになっています。

つまり、オフィスは、毎日出社して固定の机に座るところではなくなります。

オフィスの機能は、Web会議などでは行いにくい、アイデアを共有したり、協議をしたりするリアルなミーティングを行ったり、クライアントや業者を訪問する日の仕事の基地として機能するようになります。

フリーアドレスのオフィスのメリットと、デメリット

勿論、従来の島形のオフィスに比較して、フリーアドレスのデメリットもあります。
ここでは、メリットを纏めるとともに、デメリットも考察しておきましょう。

フリーアドレスのメリット

  • 社員の固定机がなくなるため、省スペースが実現でき、コスト削減ができる
  • テレワークを行いながら、オフィスワークで機動的にチームの間でのコミュニケーションが図りやすい
  • 固定机に縛られないので、部署や部門を超えた全社コミュニケーションが図りやすい
  • 部署を横断する組織であるプロジェクトチームの編成が容易
  • 私物を常に個人ロッカーに収納するため、オフィスが整理されやすい

フリーアドレスのデメリット

  • 個々の作業の進捗度合をグループウエアで管理することになるが、グループウエアの使い方によって、個々の業務の進捗管理がしにくい
  • オフィスとしての機能別設計をしっかり考えないと、執務エリアとコミュニケーションエリアが混在し、業務の集中度が落ちる可能性がある
  • 新入社員などのOJTがしにくい
  • 個々人の荷物置き場が少ない

フリーアドレスという発想は、ある意味、「大人のオフィス発想」でもあります。

自分の業務を計画し、自分で自己管理し、チームコミュニケーションを能動的に働きかけるということを、自分で自立してできる社員が多い職場では、フリーアドレスは、メリットを発揮して、生産性を非常に高くあげることができるでしょう。

しかし、他方、社員が上司からの指示待ちで仕事をする癖がついてしまっている職場や、入退社が激しく、仕事の仕方がまだよくわかっていない社員や、自己管理ができない社員が多い職場では、むしろ、生産性が落ちてしまう可能性があります。

従って、フリーアドレスのデメリットが大きくなる職場というのは、フリーアドレスなどのハードの問題というよりも、人事的な採用問題や、離職問題、社員教育など、ソフト面に問題がある職場なのかもしれません。

そのソフト面の問題を乗り越えれば、単なるデザインのかっこよさだけではなく、オフィスの機能面を重視し、個人のワークや収納にも配慮する、しっかりとした提案を検討することによって、デメリットは乗り越えられると思います。

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KOKUYO 品川ライブオフィス&東京ショールーム

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以上、ご参考になれば、幸いです。

続く

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