オフィスに配置する肘掛け付きの椅子と、肘掛けなしの椅子について
私たちは、日々、さまざまな業種のオフィスにお伺いしています。近年では、社員の固定席を設けないフリーアドレス型のオフィスも増えています。
一方で、日本企業のオフィスでは、現在も、島型と呼ばれる机の配置が多く見られます。
島型のレイアウトでは、一つの島に机が向かい合わせで並び、いわゆる「お誕生日席」に、課長クラスの上長の席が配置されていることも少なくありません。
このようなオフィスを拝見していると、管理職の方が使用する椅子には肘掛けがあり、一般の社員の方が使用する椅子には肘掛けがない、という違いが見られることがあります。
従来のオフィスでは、役職に応じて椅子の仕様を変える運用が多く見られました。そのため、現在でも、役職によってオフィスチェアの仕様を区別している企業は少なくありません。
同じシリーズの椅子であっても、肘掛けが付いているタイプのほうが価格は高くなる傾向があります。また、肘掛けの有無が、役職による椅子の違いを示す要素として受け取られることもあります。
そうすると、総務部門の方が、オフィスファニチャーの補充や入れ替えを検討される際、次のような点で迷われることがあるのではないでしょうか。
「どの役職、どの職種の方の椅子まで、肘掛け付きの椅子にするのが適切なのだろうか?」
結論から申し上げると、肘掛けの有無を役職だけで決める必要はありません。着座時間、業務内容、働き方、身体への負担、オフィスレイアウト、予算などを総合的に考えて判断することが重要です。
社長や役員を含め、役職だけを基準に一律の仕様とすることが、必ずしも最適とは限りません。また、新入社員を含めた全員の椅子を肘掛け付きにすることも、予算やスペースの観点から、必ずしも最適とは限りません。
「主任以上はすべて肘掛け付きにするべきか」
「課長以上に限定したほうがよいのか」
「役職ではなく、業務内容で判断したほうがよいのか」
このように、オフィス家具の選定は、単なる備品購入ではありません。働き方、職種、社員の快適性、社内の公平感、予算配分などを含めて考える、総務部門にとって重要な判断事項です。

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この課題を検討するためには、まず、オフィスチェアの肘掛けにどのような効果があるのかを整理しておく必要があります。
肘掛け付きの椅子の効果
では、肘掛け付きの椅子は、肘掛けなしの椅子と比較して、どのような効果が期待できるのでしょうか。
一般的には、大きく分けて、次の3つの効果が考えられます。
1.肩や腕の負担を軽減しやすい
肘掛けがあると、作業の合間に両肘を置き、腕を休ませることができます。そのため、長時間のデスクワークに伴う肩や腕の負担を軽減しやすいという特徴があります。
デスクワークが長時間に及ぶ場合、身体への負担は、腰、肩、首、腕などに現れやすくなります。肘掛けがあることで、作業の合間に腕を支えることができ、肩まわりの緊張を和らげやすくなります。
特に、総務、経理、財務、法務、情報システム部門など、同じ席で長時間パソコン作業を行うことが多い部門では、椅子の仕様が日々の身体的な負担や働きやすさに影響することがあります。
2.考える業務で身体を支えやすい
企画、管理、設計、デザイン、経営判断など、資料を読み込み、考えたり判断したりする時間の多い業務では、肘掛けがあることで、身体を支えながら姿勢を変えやすくなります。
もちろん、考えやすい姿勢や環境は、人によって異なります。椅子に座って考える方もいれば、歩きながら考える方もいます。したがって、肘掛け付きの椅子が、必ず思考力や創造性を高めると断定することはできません。
しかし、机の前で資料を読み込み、構想を練り、判断を行う時間が長い方にとっては、肘掛け付きの椅子のほうが、身体を支えやすく、長時間の思考作業に適している場合があります。
役員、部長職、管理職、事業企画部門、広告・デザイン部門などでは、単に座るための椅子としてではなく、日々の業務を支えるオフィスファニチャーとして、椅子を選定する視点も大切です。
3.姿勢を保ちやすい場合がある
オフィスチェアの肘掛けは、適切な高さに調整することで、腕を支え、姿勢を安定させることに役立つ場合があります。
ただし、この点については、座り方や体格、作業内容、椅子の調整機能によっても変わります。肘掛けがあることで姿勢を安定させやすい方もいれば、肘掛けの高さや位置が身体に合っていないことで、かえって使いにくく感じる方もいます。
したがって、肘掛け付きの椅子を選ぶ場合には、単に「肘掛けがあるかどうか」だけでなく、高さ調整、座面の奥行き、背もたれの形状、机との相性などを含めて検討する必要があります。
オフィスチェアは、社員の方が毎日、長時間使用するものです。価格だけで選ぶのではなく、使用する方の業務内容と、オフィス全体のレイアウトに合わせて選定することが重要です。
肘掛けの有無は、身体への負担と業務内容、レイアウトを踏まえて判断する
以上をまとめると、肘掛け付きの椅子には、肩や腕を休ませやすいことや、長時間のデスクワークで身体を支えやすいことなどのメリットがあります。
一方で、すべての社員に肘掛け付きの椅子が必要とは限りません。オフィスチェアを手配される際には、役職だけで一律に判断するのではなく、職種、着座時間、働き方、レイアウト、予算配分を踏まえて、誰にどのような椅子を配置するのが適切かを検討されることをおすすめします。
・長時間のデスクワークが多い部門スタッフ、例えば総務・経理・財務・法務などの管理部門や、情報システム部門のスタッフには、肘掛け付きの椅子が適している場合があります。
・資料を読み込み、企画、検討、判断を行う時間の多い職種の方や、役員、部長クラスの方、事業企画部門や広告・デザイン業務を担う方には、肘掛け付きの椅子が適している場合があります。
・外出や社内移動が多く、着座時間が比較的短い職種の方の場合には、管理職であっても、スペースや予算、使用頻度を考慮して、肘掛けなしの椅子を選ぶことが適している場合もあります。
「一定以上の役職の方には肘掛け付きの椅子を用意する」という固定的な考え方だけではなく、仕事の内容や着座時間に応じて、必要な方に適切なオフィスファニチャーを配置することが、これからの総務部門に求められる視点ではないでしょうか。
また、肘掛け付きの椅子を導入する場合には、通路幅や机下への収納性にも注意が必要です。肘掛けの高さによっては、椅子を机の下に収めにくくなり、動線を妨げることがあります。限られたオフィス面積の中で、快適性と省スペース性を両立させるためには、椅子単体ではなく、オフィスレイアウト全体で判断することが大切です。
現在、各メーカーから、機能性、デザイン性、価格帯の異なるさまざまなオフィスチェアが発売されています。新品のオフィス家具だけでなく、状態のよいリユース什器を活用することで、コストを抑えながら、必要な席に適切な椅子を配置するという選択肢もあります。
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「どの椅子を選べばよいか」
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オフィスチェアの選定は、単なる備品選びではありません。社員の働きやすさ、総務部門の管理のしやすさ、オフィス全体の使いやすさや印象を左右する、大切なオフィスづくりの一部です。
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