オフィスの引越しの物件探しの落とし穴

オフィス物件を探す際、賃料だけに目を奪われる危険性

テレワークが定着し、新型コロナ禍後も、「新業態」としてテレワークは新たな仕事の仕方として、定着すると思われます。もしそうなると、オフィスという「ヒトの器」の機能が変わってくることが予想されます。

経営者や、総務の責任者の皆さまの中にも、「オフィスを小型にして、固定費を削減する」ことを検討されている方も多いと思います。

さて、今回の話題は、そうしたコスト削減を主な目的としてオフィス移転を考える場合の、視点に関するお話です。

皆様は、不動産の賃貸オフィス物件を検討するとき、何を基準にサーチしますか?

エリア、最寄駅、駅からのアクセス、専用部分の延べ床面積、専有部分の形態、建物の外観、引き渡し時の現状、そして、当然のことながら、賃料。このような情報を、主に検討されて比較するでしょう。

不動産広告の情報を基礎に、現地を見て、周辺の物件と比較し、賃料を検討する、ということは、行わない人はいませんね。

このような検討をしているうちに、仲介不動産業者さんから電話がかかってきます。
「他の内見があるので、早く決めないと、契約がそちらにいってしまうかもしれません。」

こういった、不動産業者さんの、お決まりの営業トークで、エイヤー!と決めてしまうということは、よくあります。

しかし、本当にそれでいいのでしょうか?

オフィス物件では、管理費の金額や諸経費の支払い方に注意が必要です

このコラムでは、営業用不動産賃貸物件を探して、見落としがちなポイントをとりあげます。

1.管理費

まず、案外、見落としがちなのは、管理費です。

内見をしたとき、単に専有部分の内装をみるだけでなく、建物周辺の状態(表通りに面している入り口だけでなく、側面や裏に回って、管理の状態をみるべきです)や、ゴミ置き場の整理状態、共用部分の清掃状態などをみて、管理がきちんと行われているか、管理費はその管理状態にみあった額かを観ましょう。

オフィスビルには、普通、ビルメンテナンス会社(通称、「ビルメン」)と呼ばれる管理会社が入っています。ビルの管理は、その延床面積によって、法律上義務付けられる管理のレベルが異なります。しかし、小さなビルでも、電気・水道・ガス・エレベーター・消防防災・セキュリティ・そして日常清掃やゴミ処理など、ビルメン会社が中心となって、専門の業者が法律に従って分業し、各々専門領域を管理しています。その費用は、賃料とともにテナントが支払う管理費によって賄われています。また、資本的支出と呼ばれる、ビルの価値を長期的に高める投資や、ビルの価値の維持のための費用も、この管理費から一部賄われます。

しかし、中には、これらの費用や投資に振り向ける貯蓄を超える利潤を、管理費に上乗せしているビルもあります。

つまり、賃借人が他の物件と比較する賃料を安く抑え、かわりに、決定の際に、あまり注意をしない管理費に、賃料を安く抑えたかわりの利益を上乗せしているケースです。

賃料だけの比較ではなく、管理費にも配慮して、オフィス選定をしましょう。

2.水道・ガス・電気代の支払い方法や単価

水道やガスは、ビルが総合的に契約し、各テナントの専有部分に設置するメーターを毎月計測し、総合的にビルオーナーが支払う経費を、各テナントに分割して賃料とともに、請求する場合が多いケースです。

中には、水道・電気だけビルが統合しており、ガスは、必要なテナントだけ、個別にガス会社と契約する方式をとるビルもあり、統一的なルールがあるわけではありません。

まず、契約前に、何のコストがビルオーナーから請求され、何のコストが個別契約なのかを確認しておきまましょう。

中には、この電気代や水道代に、ビルオーナーが利益を上乗せして請求するビルもあります。そうすると、管理費の場合と同じく、実質的には、家賃のアップと同じことになりかねません。出来れば、仲介会社を通して、電気代や水道代の単価を確認しておくとよいでしょう。

3.ゴミ収集方法や、ゴミ袋の課金単価

例えば、東京都23区の場合、多くは事業用ゴミの回収は、ゴミ袋に行政が販売するシールを貼り、所定の日にだすというルールがあります。ビルの中には、このような行政が運営するゴミの回収を利用してゴミを出すビルもあります。この場合ですと、テナントは、各社で、ゴミシールを別途購入し、ゴミの回収ルールを守った出し方をしなければなりません。

行政のゴミの回収ルールは、一般的に厳しく、シールには必ずゴミを出す会社の名称を記載しなければならず、ルールに違反したゴミは回収されません。

従って、行政のゴミ回収に依存するビルの場合、ルール厳守に対して、管理会社が厳しい指導をテナントに行うのが一般的です。テナント企業の従業員がルール違反をしてゴミを出し、総務の担当者が、ビルメン会社から注意を受ける場合もあります。

一方、ビルがゴミの回収業者と契約をしている場合もあります。一般に、ビルが契約するゴミ回収業者は、ビルがお客様ですから、行政の回収よりも、融通が利きますし、ゴミの回収ルールも甘く、回収頻度も多い場合が多く、ゴミを出すルールは、行政のゴミ回収を使うよりも自由度があります。ゴミの回収業者も競合が激しく、あまり厳しいことを言うと、ビルから業者を変えられてしまいますので、ビルメン会社も厳しいことは、言わない場合が多いようです。

しかし、一方、ゴミ回収の費用は、行政が回収するサービスに比べて高くなります。回収業者専用のゴミの袋は、オーナーから購入することになり、オーナーの利益が乗っているケースもあります。こうなりますと、行政の回収に比較して、ゴミの回収の費用が高くなります。

便利だけれど、コストがかかる方法といえます。どちらがよいか、は、企業が出すゴミの量にもよりますので、ゴミの回収方法にも注意をしておく必要があります。

少しのコスト高でも、長期的には、大きなコスト増に!

これらの上乗せの費用は、単月で見れば、それほど大きな負担ではないかもしれません。

しかし、オフィスは、引っ越しを頻繁に繰り返すものではありません。
オフィスの引っ越しには、相当なコストがかかるからです。そうなりますと、単月の小さなコストでも、長期的には、大きな負担になる可能性があります。

オフィスの引っ越しを検討する場合、賃料だけでなく、管理費や電気・水道・ゴミといった日常的なコストも単価もしっかり確認し、総合的に、メリットのある物件を選んでください。

以上、参考になれば光栄です。

続く

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