特別取締役制度を活用しよう

特別取締役とは何か?

会社法・企業法務を大学で勉強した方でも、「特別取締役」といわれると、
「それって、なんだっけ?」
と、案外、御存知ないものです。

会社法は、商法時代に比べて、会社の機関の多様な制度を認めています。

取締役会設置会社、監査役会設置会社、会計参与、会計監査人、委員会設置会社・・・。

これらの複雑な関係を覚えることが、企業法務を勉強する上で、一苦労ですよね。

さて、そんな企業法務の中で、「特別取締役」という制度は、ある一定規模の取締役会設置会社に認められた制度です。

取締役会決議を迅速に行うための制度

特別取締役を選任できる会社は、取締役会設置会社であって、取締役が6名以上の会社です。

取締役会は、取締役全員で構成し、その会議により、業務執行に関する会社の意思決定を行うとともに、取締役の業務執行を監督する機関です。

そのため、重要な業務執行に関する事項は、必ず取締役会で決定しなければなりません。そして、その決議は、取締役の過半数が出席し、その出席取締役の過半数で行います(会社法369条①)。

この決議要件は、定款でも軽減はできません。

取締役が多数に上り、しかも、社外取締役を、取締役のうちの一定数以上求める現在の企業法務の中では、取締役、とりわけ社外取締役が多数にのぼる場合、この取締役会の招集と、その議決は、容易ではありません。

一方、重要な業務執行に関する議案の中には、緊急性のあるものも珍しくありません。

そうなると、取締役会の開催の調整をしていることが、スピーディな経営的意思決定の妨げになってしまうこともありえます。

そこで、認められているのが、特別取締役制度です。

特別取締役制度は、取締役会メンバーの一部(3名以上)を予め、特別取締役として選任しておき、その決議によって、取締役会決議とすることができます。

制度導入の場合の注意点

この制度は、本来、代表取締役への監督機関である取締役会の機能を、一部の取締役に委任することができる制度であるため、制度導入について、濫用の歯止めが会社法に規定されています。

まず、特別取締役の決議事項は、遅滞なく、特別取締役以外の取締役に報告する義務があります。

また、特別取締役制度を導入した場合、特別取締役の構成を、外部の利害関係人に表示することを可能にするため、社外取締役については、社外取締役である旨の登記が要求されます。
株主からみて、社外取締役が少数なのにもかかわらず、特別取締役が選任され、取締役会の決議を潜脱するような運営がなされている場合、これを株主総会で究明する資料に登記を利用させるという趣旨です。

このような制約はありますが、大企業にとって、経営の迅速化は重要な課題であり、その課題と、取締役会が担うコンプライアンスの両立を図る制度として、特別取締役制度は、今後、大企業により導入が、より期待される制度です。

組織が大きくなると、意思決定が遅くなり、コンプライアンスが一人歩きをはじめて、企業の舵をきることが難しくなります。

このようなことが起きないように、会社法が認めた柔軟な制度の活用を提案することも、また、支援部門の重要な仕事ではないでしょうか。

以上、会社機関設計の参考にしていただければ幸いです。

続く

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