財務諸表の「流動」と「固定」を分ける基準

固定資産、流動負債、固定負債? 流動から固定と、配列が決まっている貸借対照表

ビジネスパーソンにとって、「これを知らないと困る」という知識は、現代の企業社会において、かなり広範囲に存在します。

英語ができる、というスキルは、すべての企業で求められるわけではないスキルですが、会計の最低限の知識というのは、どこの企業のビジネスパーソンでも、それがないと、非常に困ることが多い「常識」の領域の知識です。

さて、そんな会計の領域のことが、今日の話題です。

財務4表のうち、貸借対照表が、一番、前についていることは、皆さん、ご存知ですね。

貸借対照表は、企業の決算日における財政状態を表示した帳票です。いわば、決算日を切り取って、その日の時点の企業の財産を外部の利害関係人に対して、表示する書類です。

その左側が資産となっており、これはいわば、企業の「財布の中身」です。そして、右側の上部分には、他の人から調達した資金を「負債」として表示し、右側の下部分に、自分の身内から投資された資金と自分が稼いだ資金等を「純資産」として表示しています。

個人の財布の中身でいえば、財布に合計10万円のおカネが入っていて、そのおカネのうち、4万円をクレジットカードのキャッシングで借りており、6万円を自分の給与から出してきているとした場合、資産が10万円、負債が4万円、純資産が6万円。

ですから、資産=負債+純資産、という公式が成立し、貸借が一致するのは、当たり前なのです。

さて、その資産や負債をみると、一番上に、「流動」と名付けられている資産や負債がきていて、その下に「固定」と名付けられる資産や負債がきています。

このように、流動から固定へと上から下へ表示することを、流動性配列法と呼びます。

流動と固定は、どう分けられているのか?

流動というのは、資産の場合、より現金に近いことを意味し、負債の場合には、より現金での支払いが早いことを意味します。

では、この現金へ「近さ」や「早さ」の、基準は何でしょうか?

代表的なルールの一つが1年基準です。

1年基準(ワンイヤールール)

1年基準とは、主に、1年間以内に現金に変わるもの、1年以内に現金での支払いが到来するもの、という基準で、流動性を把握するルールです。

流動資産の代表例は、売掛金や受取手形、商品・製品などの棚卸資産です。

これらは、取引先から1年以内に入金されたり、取引先に1年以内に売却されて現金にかわったりする資産ですので、流動資産として把握されています。

一方、流動負債の代表例は、未払法人税等や短期借入金、預り金などです。未払法人税等は、決算から2か月程度で納税しますし、預り金というのは、従業員の給与から天引きした社会保険や税金ですから、原則的には翌月には納税します。短期借入金と長期借入金の違いは、1年以内に弁済期が到来するか否かです。

流動性比率が、収益率よりも重要な理由

さて、こうして貸借対照表を観たときに、最も重要なことは、流動資産と流動負債の割合です。

仮に、流動資産の金額よりも、流動負債の金額が多い場合、その企業は、1年以内に保有している流動資産を現金にかえても、今の財産では、支払わねばならない債務を支払えないということを意味します。

流動資産を流動負債で割った数値が、流動比率と呼ばれる指標ですが、この流動比率が1を割り込んでいる企業の場合、近いうちに債務超過に陥ることになりますので、売掛による取引などを行うことは、非常に危険であるということになります。

仮に、売上があがっていても、このような流動比率が低い企業とは、売掛の取引を行うことに、黄色信号がともっている会社と判断することになります。

また、固定資産を大量に保有していても、流動性が悪い企業は、黒字倒産予備軍と判断をすることになります。

企業は、収益性よりも、流動性が、重要なのです。

以上、ぜひ、財務諸表を観る際のご参考にしてください。

続く

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