社員の退職は誰でも気づきます。しかし、もっと怖い、社員の「静かな退職」にあなたは気づいていますか?

「静かな退職」とは?

「静かな退職」とは、英語のQuiet Quittingの和訳語です。

アメリカでは、会社を辞めるのではなく、仕事の意欲や熱意を失い、必要最低限の業務のみをこなす社員が増えており、このようなことに対する企業の危機意識が「静かな退職」問題への取り組みとして注目されています。

アメリカでは、もともと、会社経営に対する労働者の不満や改善要求は、労働組合活動として、非常に大きな団体行動に結びつき、労使の協議や労働争議の中で、大きな問題になってきました。

しかし、アメリカの製造業の衰退とともに、労働争議は下火になり、アメリカの労働者は、声をあげなくなりました。

失業率も高く、仕事の退職をしても、次の仕事につけず、極めて高い物価の中で、都市圏では、失業で家を失い、退職はホームレス化するリスクがあります。

そのために、退職をせず、不満に対する声もあげず、「静かな退職」に陥る労働者が増えているのです。

そして、この静かな退職者は、日本でも、大きな経営上の問題を生むようになっています。

社員の退職より、社員の「静かな退職」のほうが、ずっと会社は深く傷つけられます

静かな退職は、実際の経営には、退職問題よりもずっと深刻です。

退職をすれば、少なくとも賃金の発生は止まります。会社も、モチベーションの高い人材の求人に入れます。

しかし、静かな退職は、会社は社員がその状態に陥っていることに気づきません。賃金は支払われ続け、生産性は低下します。

従って、会社の退職者が増えている問題よりも、静かな退職者が増える問題のほうが、会社に深いダメージを与えてしまうのです。

部下を「静かな退職」させる管理職の傾向

静かな退職は、どのような社員でも起きえます。

それは、「上司」が、静かな退職をする社員を生み出す原因になっているからです。

そして、静かな退職を部下にさせやすい上司は、「静かでない上司」に多いという傾向があります。

「静かでない上司」の特徴は、自分の仕事に自信があり、その自信を部下に明示することにあります。例えば、営業部門の場合、営業成績を過去に大きく築き、かつ、その実績を部下に示す自己顕示欲が強い課長、というのが典型的な「静かでない上司」の特徴です。

部下のよい部分を認めず、自分と引き比べて部下の能力が低いと嘆き、部下を能力が低いと言うことによって自己顕示欲を満たすタイプの上司によって、部下は、仕事の意欲や熱意を失います。

一方、部下は、上司への不満があっても、会社自体に対しては、それほど強い不満がないため、退職には至りません。このように、会社への不満は強くないけれども、上司の問題点によって、静かな退職は、日本では最も多く生み出されています。

会社に不満があれば、退職をしますが、会社への不満が少ないけれども、上司に不満がある職場で、静かな退職は、最も多く生み出されてしまうのです。

「静かな退職」をさせないためには

静かな退職が社内にあると認識した場合、会社がやる気を失った社員の研修を充実させたり、福利厚生を充実させたりすることでは解決できません。そこに問題があるわけではないからです。

管理能力と管理者意識が低い人材を、実績だけでマネジメントに昇進させているような、誤った人事制度が稼働していないどうかを検証する必要があるのです。

以上、ご参考になれば幸いです。

続く

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