マネジメントの適性

P.F.ドラッカー「現代の経営」

経営者や管理職が、経営というものに真面目に取り組もうと考え、少しそれを勉強した方は、必ず、「ピータードラッカー」(P・F・ドラッカー)という名前に行き当たります。

ピータードラッカーは、20世紀後半の世界最大の経営思想家です。

第二次世界大戦後の20世紀後半。

それまでの経済が、資本家(財閥)によって独占されていた近代に変わって、「所有と経営の分離」の時代が到来する中、ドラッカーは、「マネジメント」という概念を深化させ、現代的な経営のあり方を打ち出した、偉大な経営コンサルタントです。

そのドラッカーが、1954年に世に出し、今なお、ドラッカーの著作の中で、古典的名著といえる優れた著作が、「現代の経営」です。

日本語翻訳版は、ダイヤモンド社より、上下の二分冊で出版されています。

今から、60年以上前に出版された本でありながら、今尚、世界で、優れた経営者のバイブルとして読まれ続け、経営コンサルタントを目指すヒトには、先生や先輩から最も読むことを勧められるのが、この「現代の経営」です。

P.F.ドラッカー「現代の経営」の、「経営者の適性」論

この現代の経営の、「組織の文化」という編の中に、ドラッカーの「経営者の適性」論が展開されているところがあります。

このコラムでは、これをご紹介したいと思います。

その冒頭で、ドラッカーは、このような言葉から、経営者の適性論を書き始めています。

「いかなる仕組みを作ろうとも、マネジメントへの昇格人事で日頃言っていることが反映されなければ、優れた組織文化を作ることはできない。本気であることを示す決定打は、人事において、断固、人格的な真摯さを評価することである。」

そして、そのあと、ドラッカーは、熱く、マネジメントの適性というものが、才能や知識ではなく、真摯さにあることを力説しています。

ここからは、「現代の経営」から、ドラッカーの言葉をいくつか抜きだしてみたいと思います。

「真摯さは、習得することができない。」

「真摯さは、ごまかしがきかない。」

「一緒に働けば、部下は、マネジメントが真摯であるかどうか数週間でわかる。部下は、マネジメントの無能・無知・頼りなさ・無作法などのほとんどは許す。しかし、真摯さの欠如だけは許さない。」

「知識がなく、仕事の成果がたいしたことがなく、判断力や能力が不足しているマネジメントよりも、真摯さに欠ける者のほうが、組織を腐敗させる。企業にとって、最も価値のある資産たる人材を台無しにし、組織の文化を破壊し、業績を低下させる。」

そして、マネジメントの適性論を更に発展させていきます。

「人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの地位につけてはならない。」

「何が正しいかではなく、誰が正しいかに関心を持つものを昇進させてはならない。」

「真摯さよりも、頭脳を重視する者を昇進させてはならない。」

「有能な部下を怖れる者を昇進させてはならない。」

「自らの仕事に高い評価基準を定めないものを昇進させてはならない。」

このように、熱く畳みかけるように、論を進めていきます。

コンプライアンス最重視の組織論では、組織は発展しない

今、特に上場企業には、厳重なコンプライアンスが求められる時代です。

特に、マネジメントの適性に、学歴のよさとコンプライアンス違反がないことが、最も求められると考えている企業が、大企業になるほど増えているように感じます。

勿論、コンプライアンスは、重要な指針の一つです。

しかし、コンプライアンスに違反しないという要件が、「挑戦しない」「真摯でない」ことを意味してならないと、ドラッカーは教えています。

真摯であるヒトは、時に前のめりになり、過ちを犯すことがあります。その過ちを、ほじくり返すように見つけ出して、マネジメントから排除する企業では、組織の発展は止まってしまうというのが、ドラッカーが熱く語っている組織論の内容です。

以上、参考にしていただければ、幸いです。

続く

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