「大学1年生から内定」の時代

星野リゾートや、ファーストリテイリングが大学の学年に関係なく内定を出すことに

2024年から、星野リゾートや、ファーストリテイリングなどの企業が、大学の学年を問わずに、内定を出す方針を打ち出しました。星野リゾートは、2025年には、ベースアップと定期昇給をあわせて、年率5.5%の賃上げを実施するとしています。

慢性的な人材不足は、今後も更に深刻化すると見られていますが、企業が成長を確保するためには、生産性をあげる人材を他の企業に先んじて確保し、継続的に雇用を続ける必要があり、そのための人材の確保をチカラの強い企業が前倒ししています。

就職までの期間は、セミナーやインターンで、実践力強化へ

星野リゾートでは、学生は、内々定から半年以内に内定を受託し、卒業後、12カ月以内に入社すればよいという柔軟な制度をとっています。

入社までの期間が非常に長くなるため、セミナーやインターン・宿泊施設訪問といったプログラムが用意されていて、実践力の強化を図るように工夫されています。

内定を大学1年生や2年生に出す仕組みに対しては、学業に支障をきたすとの批判もあります。

しかし、逆に、早期に内定をとれれば、これまで就活に没頭しければならなかった3年生や4年生の時期に、専門課程の学業にしっかりと取り組めるといったメリットもあるかもしれません。

加えて、卒業後、4月1日に一斉入社させる仕組みよりも、卒業後に、長期の海外旅行に出るなど、その後の人生に大きく役立つことに、学生時代の最後の時間をあてることもできるのではないかと思います。

益々難しくなる、やる気ある大学生アルバイトの獲得

このような内定の早期化と、インターンシップの活発化は、企業の学生アルバイトの獲得に、大きな変化を齎しています。

企業が大学生の優秀な層を内定で抱え込み、インターンシップを活発化させることで、大学生アルバイト求人の応募には、「内定やインターンから漏れた層」しか来ないという状態になりつつあります。

以前には、大学生アルバイトが主流をしめた飲食業やコンビニのアルバイトは、やる気のある学生が全く集まらず、外国人が、その主力を担うようになりました。日本語が不自由な外国人でも仕事ができるように、飲食業やコンビニでは自動化を進めていますので、早晩、これらの外国人労働者は、AIによるロボットにとって代わられるのではないでしょうか。

内定の早期化が、簡易なサービス業の仕事のAI化を推進する契機になりそうです。

「大学になんのために行くか?」 大学生もそれを問われる時代へ

一方で、内定の早期化は、
「大学に何のために行くのか?」
という議論にも直結します。

大学1年生に内定を受けるとすれば、そこで評価されているのは、大学のブランドと、高校生時までに出来上がった本人の仕事の能力だけ、ということになりますから、大学教育というものの価値が問われることになりそうです。

一方で、大学1~2年生で内定を受けてしまえば、3~4年生の専門課程の時期を就活という、学問とは無縁の活動に費やすことがなくなり、むしろ、専門課程の勉強にとっては、良いのかもしれません。

特に、星野リゾートは、就職時期を、卒業後12か月以内とする内定を出しています。これであれば、卒業後、就職前に、バックパッカーとして世界を回ってくるとか、留学に行くという活動ができるため、人生全体でみれば、よい経験を積むことができるかもしれません。

本人の戦略があれは、よい選択ができる時代になったのかもしれませんね。

以上、ご参考になれば幸いです。

続く

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