業績連動型報酬制の運用で、注意すべきこと

年功序列型か、業績連動型か?

人事の給与の報酬制度の中で、年功序列型報酬か、業績連動型報酬か、という論点は、正解がない議論であると言われています。

年功序列型報酬は、従業員の安定性や、従業員の家族の生活のためには適切な制度である反面、仕事に負担が多い若手社員の給与が相対的に安くなり、モチベーションの低下や、貢献意欲の低下を生みがちです。

一方、業績連動型報酬は、若手社員の競争心をかきたて、短期的には業績に寄与しますが、個人業績優先の体質に陥り、組織全体の目標と個人の目標が乖離する近視眼的な組織を生みがちです。

一長一短のある報酬形態ですが、新型コロナ禍の中で、個人がテレワークによる自立的な仕事の成果を求められる今、ジョブ型評価への移行は、待ったなしになってきた感があり、業績連動型報酬体制へのベクトルが強くなることは避けられないでしょう。

業績連動型の報酬体系の運用で注意をすべきこと

総務人事部門にも、経営陣より、ジョブ型・業績連動型などの、個人の成果を図って、報酬や昇進と連動する体系への移行の圧力が強くなっている企業が多いと思います。

業績連動型を採用するとき、運用面で、注意をしなければならないことを、今日は、書いて参りたいと思います。

急成長企業として、上場したバックスグループの役員を経験された、本田直之氏が、新型コロナ禍でのライフスタイルと働き方の変革を提唱する著書「パーソナル・トランスフォーメーション」の中で、次のような、バックスグループでの経験を書かれています。

バックスグループは、急成長会社であったため、成果に対して報酬を大きく連動させる仕組みを導入していたそうです。

「年収500万円の営業社員が、大きな成果を挙げることで、年収が一気に1,000万円になる」ケースもあったそうです。

これに対し、本田氏は、これを後で振り返り、次のように書かれています。

「実は、当時、大きな成果が出ていたのは、景気が良かったことが要因だった」

「景気がよかったから、大きな成果が出せた社員がたくさんいたのです。一方で、本当に頑張って実力で成果を出している社員もいた。」

「景気が悪くなったとき、この両者に差が明確に出ることになりました。」

「本当に実力がなかった社員ほど、景気が良くて業績が出ているときは、『業績給をもっとあげるべきだ。業績が悪くなったら、当然、給与をカットしてかまわない。』と言っていたのです。」

「ところが、業績が悪くなって、給与を下げると、今度は『会社のシステムが悪い。自分のせいではない。』と言い始めました。本当に実力がなかった社員ほど、業績がよかったときと、正反対のことを言うのです。」

「このような社員の多くは、500万円から1,000万円にあがり、その後、10%程度下がっただけで、会社を辞めて行きました。」

このような状況を振り返って、本田氏は、経営者として、つぎのような反省を書かれています。

「危機の状況のときに、人は一番わかる、ということです。ピンチのときに、どういう行動をとるか、で、ヒトはみえてくる。持っている考えは、厳しい状況のときに、顏をのぞかせるのです。」

「マネジメントを手掛ける人間として、反省しました。」

一時の社内の声に、人事の制度の根幹は動かしてはならない

本田氏の書かれている事例で、「実力ではなく、景気だけにのって業績をあげた人材ほど、業績連動型の報酬を望む声をあげる」という部分は、非常に考えさせられます。

業績連動給を最も採用しやすい営業組織の場合、実力のある営業ほど、営業の成果を恒常的に出し続けることの難しさを知っていますから、安易に、業績連動型の評価を導入されることには、慎重になるものです。

業務系の組織でも、長い人生の間には、様々なことがあるわけですから、ジョブ型の評価に安易に移行されることには、慎重になると思います。

多数決の原理で、人事制度を考えてしまうと、会社にとって、本当に重要な人材の声が、そうでない人材の声にかき消されてしまう、という事態になりかねません。

人事制度は、会社の最も重要なヒトという資源にかかわる、最重要な政策で変更をすると、安易に再検討できません。

やはり、一時の社内の声に、人事制度の根幹を動かしてはならないのでしょう。

以上、ご参考になれば、幸いです。

続く

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