社用車の購入法
企業が社用車を導入する場合、これまでは、リースで購入するのが一般的でした。
車輛は、ほとんどの場合、30万円という、企業の減価償却資産の一括償却の限界金額を超えてしまうため、車輛の所有権を取得してしまうと、キャッシュアウトの損金計上を減価償却によらなければならなくなります。
そのため、所有権を取得せず、リースを使ってキャシュアウトを費用化し、損金計上と一致させるのが、企業の納税を考えた場合の、賢い適切な方法でした。
最近、これに対し、社用車をリースで使用するのではなく、カーシェアで利用する企業が増えています。
※参考情報
尚、2027年度より、リース取引の会計ルールが国際水準に変更されるので、リース取引には、今後、注意が必要です。
これまで、日本の会計基準では、オペエレーティングリースの場合、借り手企業の資産・負債には、計上されませんでしたが、一定の規模の企業では、資産・負債への計上が義務化されます。このため、今後、オペレーティングリースを適用すると、負債を大きく増やすことになるため、注意が必要です。
企業におけるカーシェアのメリット
通常、カーシェアは、その仕組みに加入するための月額経費がかかります。
しかし、最大手のタイムズでは、企業向けプランで、この月額経費がかかりません。つまり、使用した分の費用を支払えればよいという形で、コストを流動費化できます。
車輛というものは、リースを使うにせよ、その経費は、固定費となります。一方で、カーシェアは利用分の経費が、以上のように使った分に比例した流動費で賄えます。
企業の経営上のリスクを削減する大きな策は、固定費を削減することです。
車輛の使用頻度が非常に多く、ほぼ毎日使用するような車輛や、作業用の荷物を積むような用途の車輛は、社有車のほうが、経費が総体的に低くて済みます。
一方、どの程度の使用頻度があるか経営側から見えない車輛をリースで購入すると、その固定費が、過剰なリスクになってしまっていることがあります。それを放置していると、経営上の必要で経費の削減をしようとしても、リース契約に縛られて、経費を圧縮できません。
従って、そのような場合に備え、車輛の入れ替えの時期に、新車のリースを組まず、社用車を処分して、カーシェアに変え、その使用頻度を管理するのも、一策です。
また、カーシェアは、都内は勿論、地方でも使用が自由にできます。使いたい場所で、営業上の必要にあわせて、手続きが不用なレンタカーのように、利用することが可能です。
原油価格があがり、ガソリンが高くなっている昨今、車輛を使用していく必要が必ずしもない場所でも、会社から車で目的地まで、時間をかけて社員が車で行っている可能性もあります。
場合によっては、電車で最寄り駅まで行き、車が必要な場所だけ、カーシェアを使うことにしたほうが効率的である場合もあるでしょう。
加えて、カーシェアは、レンタカーと異なり、その費用にガソリン代が含まれておりますので、レンタカーのように、その費用とは別にガソリン代がかかるものではありません。
ガソリン代が高騰していく時代には、非常に効率的です。
物価高のインフレ時代には、シビアな経費の見直しも!
ガソリン代という経費が伴う社有車の保有には、本当にその車輛が会社の業務にとって、必要不可欠なのかを検証する、経営者の厳しい目が必要です。
営業活動や業務を抑制しては本末転倒ですが、見直しをせずに、車とそれに伴うガソリン代を、漫然と使用し続けることは、インフレ時代の経営にはタブーです。
社有車は、その経費が比較的、大きいため、見直しが、即大きな経費節減につながる項目です。
一度、ぜひ、各部署に任せてある社有車の使用状況を確認し、必要があれば、カーシェアのような形態に切り替えることも、検討してみてはいかがでしょうか?
以上、参考にしていただければ、幸いです。
続く