「タイパ」発想の落とし穴
「コストパフォーマンス」=「コスパ」から生まれた、「タイパ」という言葉が広く使われるようになりました。
限られた時間を有効に使おうとする「タイムパフォーマンス」の考え方は、決して悪いものではありません。若い世代では時間効率を重視する傾向がみられますが、「タイパ」はすでに若い世代だけの価値観ではありません。企業においても、DXや生成AIの導入によって、「いかに短時間で成果を出すか」が、これまで以上に重視されるようになりました。
しかし、ここで私たちが考えておきたいことがあります。
人間の仕事は、すべてを効率化すれば、それに比例して成果が高まるのでしょうか。
考える時間。立ち止まる時間。ぼんやりする時間。
一見すると「何も生み出していない」ように見える時間にも、人間の脳にとって重要な役割があることが、神経科学や心理学の研究からわかってきています。
仕事の生産性を考えるときには、「働いている時間」だけでなく、「適切に休む時間」にも目を向ける必要があるのです。
「何もしない時間」の効用
人が外部の課題に集中していないとき、脳では「デフォルトモード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる複数の脳領域からなるネットワークが活動します。
DMNは、単に「脳が休んでいる状態」を意味するものではありません。過去の経験を思い返すこと、将来について考えること、自分自身について考えること、自由に思考を巡らせることなど、内面的な思考に関係していることが知られています。
また近年の研究では、DMNが創造的な思考にも関係していることが示されています。
ただし、「ぼんやりしていれば、必ず創造性や生産性が高まる」という単純な話ではありません。重要なのは、仕事に集中し続けることだけが、人間の能力を発揮する方法ではないということです。
一つの課題について長時間考え続けても答えが出なかったのに、席を離れて歩いているときや、休憩しているとき、あるいは別のことをしているときに、突然アイデアが浮かんだ経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
創造性研究では、いったん課題から離れることで、その後の発想や問題解決につながる「インキュベーション」と呼ばれる現象も研究されています。
さらに、仕事中の短い休憩についての研究でも、適切な休憩は疲労の軽減や活力の回復に役立つことが報告されています。
つまり、仕事の効率を高めたいからこそ、仕事をしない時間を意識的につくる。一見すると矛盾しているようですが、これもこれからの働き方を考えるうえで重要な視点ではないでしょうか。
「孤独」ではなく、自分自身に戻る時間
自分自身の意思で周囲から少し離れ、静かに考える時間には、自分の考えを整理したり、課題を別の角度から捉え直したりする意味があります。
経営者や管理職であれば、日々の会議や連絡から一度離れたときに、重要な経営判断について考えが整理された経験があるかもしれません。
社員にとっても同様です。
常に誰かとコミュニケーションを取ることだけが、よい職場環境とは限りません。
コミュニケーションできる場所と、集中できる場所。
社員同士で交流できる場所と、一人で静かに過ごせる場所。
仕事をする場所と、仕事から一度離れられる場所。
これらを適切に配置することも、これからのオフィスづくりには必要だと、私たちは考えています。
オランダ語の「ニクセン」に学ぶリラックスの考え方
「ニクセン(Niksen)」という言葉をご存知でしょうか。
オランダ語の「niks=何もない」に由来する言葉で、「何もしない」「目的を持たずに過ごす」といった意味で使われています。
近年、この言葉が「意識的に何もしない時間をつくる」という考え方として、海外でも紹介されるようになりました。
川べりのベンチに腰を下ろして、ぼんやりと景色を見る。
窓の外を眺めながら、コーヒーを飲む。
そこには、「この時間で何かを学ぼう」「健康になろう」「成果を上げよう」という明確な目的さえありません。
何もしないこと自体を許す時間です。
もちろん、「ニクセンを実践すれば生産性が上がる」と単純に考えるべきではありません。
しかし、常に何らかの成果を求め、空いた時間まで情報で埋めようとする現代の働き方に対して、「何もしない時間も必要なのではないか」と問いかける考え方としては、とても興味深いものです。
何もしないことは、必ずしも「無駄な時間」ではありません。
むしろ、集中する時間と休む時間を適切に切り替えることが、長く安定して働くためには必要なのではないでしょうか。
総務部門が考えたい「休めるオフィス」
オフィスを設計する際、どうしても私たちは「仕事をするための空間」を中心に考えます。
しかし、これからのオフィスでは、「社員が適切に休める空間」も同じくらい重要になってくると、フォーワードは考えています。
社員同士が気軽に話せるリフレッシュスペース。
一人で静かに過ごせる場所。
仕事の合間に身体を動かせる場所。
短時間でも仕事から意識を切り替えられる環境。
こうした空間を整えることは、単なる福利厚生ではありません。
従業員のストレス対策や健康経営、エンゲージメント、人材定着、そして長期的な仕事の生産性を考えるうえでも、総務部門が検討すべきオフィス環境の一つだと考えます。
フォーワードでは、オフィス移転やリニューアル、レイアウト変更といったハード面のオフィスづくりだけでなく、従業員のストレス解消を支援するサービスもご提案しています。
会議室やリフレッシュスペースを活用した「オフィス de ヨガストレッチ」や「オフィス de ダンス」、社員の皆様に笑ってリフレッシュしていただく「オフィス de お笑い」など、働く人が仕事から一度離れ、心身を切り替えるためのさまざまなプログラムをご用意しています。
「社員がなかなか休めない」
「リフレッシュスペースをつくったが、十分に活用されていない」
「ストレスチェックの先に、具体的な施策を検討したい」
「健康経営につながる新しい取り組みを始めたい」
このようなお悩みをお持ちの総務・人事責任者の皆様は、ぜひフォーワードにご相談ください。
効率よく働けるオフィスだけではなく、適切に休み、気持ちを切り替え、再び仕事に向き合えるオフィスへ。
フォーワードは、空間づくりとストレス対策の両面から、企業とそこで働く皆様に適したオフィス環境をご提案します。
フォーワードのストレス解消サービス