容積率緩和で供給が進む、東京都のアフォーダブル住宅

手頃な家賃で暮らせるアフォーダブル住宅の供給が始まる

「アフォーダブル住宅」という言葉をご存知でしょうか?

「アフォーダブル」とは、「手頃な」「無理なく負担できる」という意味の英語です。東京都におけるアフォーダブル住宅とは、主に子育て世帯などが、手頃な家賃で安心して暮らすことのできる賃貸住宅を指します。

東京都では、民間事業者や東京都住宅供給公社などと連携し、2026年からアフォーダブル住宅の本格的な供給を開始しています。

公社住宅を活用したアフォーダブル住宅では、市場家賃より2割程度低い家賃を設定することが想定されています。都内の住宅価格や賃料が上昇するなか、子育て世帯や新婚世帯などの住まいの選択肢を広げる施策として、今後の供給拡大が期待されています。

従来からある東京都の公的賃貸住宅の一つである都営住宅は、原則として所得が一定基準以下の世帯を対象としており、入居には所得要件などが設けられています。

一方、東京都のアフォーダブル住宅は、対象を低所得世帯だけに限定せず、子育て世帯などを幅広く対象としている点に特徴があります。

アフォーダブル住宅は、なぜ都心部でも手頃な家賃を実現できるのか?

では、なぜ地価や賃料が上昇している東京都心部でも、手頃な家賃のアフォーダブル住宅を供給できるのでしょうか?

その仕組みの一つが、アフォーダブル住宅の整備と、大規模な都市開発における容積率緩和を組み合わせる政策です。

現在、東京都心部では、オフィス、商業施設、ホテル、住宅などで構成される大規模な複合再開発が相次いでいます。都心の高機能なオフィスビルに対する企業の移転・増床需要は高く、開発事業者にとっては、限られた敷地を有効に活用し、どれだけ多くの延べ床面積を確保できるかが、事業性を大きく左右します。

そこで東京都は、一定の条件を満たす都市開発において、開発事業者が周辺地域などにアフォーダブル住宅を整備・確保した場合、容積率を緩和する仕組みを導入しています。

容積率の緩和によって開発可能な延べ床面積が増えれば、開発事業者はオフィスや商業施設などの賃貸・販売面積を拡大できます。その開発利益の一部を、アフォーダブル住宅の供給に還元する仕組みといえるでしょう。

これにより、行政が住宅整備の費用をすべて負担するのではなく、民間の開発力を活用しながら、都心部やその周辺で手頃な家賃の住宅を供給することが可能になります。

大規模再開発の進展が、アフォーダブル住宅の供給機会を広げる

大手町から日本橋・京橋にかけてのエリアをはじめ、渋谷、新宿、築地など、東京都心部では大規模な再開発が相次いで計画されています。

今後、アフォーダブル住宅の整備を容積率緩和の要件とする都市開発が増えれば、再開発と並行して、都心部やその周辺におけるアフォーダブル住宅の供給機会も広がる可能性があります。

ただし、東京都のアフォーダブル住宅は、都市開発に伴う容積率緩和だけで供給されるものではありません。官民連携ファンド、公社住宅、空き家の活用、リノベーションまちづくり、都有地の活用など、複数の手法によって供給が進められています。

今後の東京のまちづくりでは、オフィスや商業施設を中心とした経済機能の拡充だけでなく、そこで働き、子育てをする人々が無理なく暮らせる住宅を、どのように確保していくかという視点が、これまで以上に重要になるでしょう。

住まいに関する制度を理解し、自分たちに合った選択肢を考える

一方、人口減少が進む地域では、二地域居住を促進するための制度整備や、移住者に対する住宅取得・家賃補助、空き家の活用など、地域の実情に応じたさまざまな支援策が進められています。

東京都のアフォーダブル住宅、地方自治体の移住支援、空き家バンク、二地域居住などの制度を比較・検討することで、住居費を抑えながら、仕事、子育て、生活環境のバランスを考えた住まい方を選択しやすくなります。

ただし、それぞれの制度には、所得、年齢、家族構成、居住期間などの要件が設けられている場合があります。また、募集戸数や募集時期も限られているため、利用を検討する際には、東京都や各自治体、住宅事業者が公表する最新の情報を確認することが大切です。

オフィスや住宅を取り巻く環境は、都市開発、働き方、家族構成、地域政策の変化とともに、大きく変わりつつあります。

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