密閉されているオフィスに、悪臭がしたり、虫が侵入したりしているということは、どういうことなのでしょうか?
オフィスは、自宅と異なり、通常、空調で制御され、密閉されているので、異臭を感じたり、ゴキブリなどの虫が侵入しにくい空間になっています。
しかし、それでも、時にオフィスに朝入った瞬間、下水の異臭がしたり、虫の侵入を発見するなどのことが起きることがあります。この異臭や虫は、どこから侵入してきた可能性が高いのでしょうか?
これらの現象を発見した場合、皆さんのオフィスが、下水道と一時的に繋がってしまった可能性があります。
どういうことでしょうか?
トラップの役割
一番わかりやすい例でお話をします。皆さん、水道の排水の下の配管を洗面台や台所の下で観たことがあるでしょう。
どうなっているでしょうか?
必ず、U字型やS字型をした、曲がっているところがあるでしょう。あれを、トラップと言います。トラップには、Sトラップや、Pトラップ・Uトラップと、様々な形があります。
トラップの役割は、排水を貯めることにあります。台所でも、トイレでも、必ず水が溜まっていますよね。
このトラップがあることによって、下水道の悪臭や、ゴキブリなどの虫を、室内への侵入から護っています。トラップの中に溜まっている水によって、下水の悪臭や虫が、室内に侵入できないようになっているのです。
オフィスや自宅で、異臭や下水の中に生息するゴキブリなどの虫を発見した場合、それは、どこかで、このトラップの水バリアが、破られたことを意味します。
何らかの異常で、このトラップの水がなくなると、バリアがなくなったために、異臭や虫は、どんどん室内に侵入してきます。そして、ゴキブリなどは、人間が見えないところで、卵を産み、繁殖をしてしまいます。
そうすると、大変なことになるわけです。
トラップの中の水を維持することが大切
では、どうして、オフィスでは、トラップに水がなくなるのでしょうか?
- 蒸発作用
例えば、オフィスがお盆休みに入り、数日間、排水に水を流さないでいますと、夏の高温で、トラップの水が蒸発してしまいます。これが、蒸発現象です。 - 毛細管現象
トラップ内に、毛や糸くず、食べ物のかすなどが引っ掛かり、それが水を吸収してしまい、水がなくなります。これが、毛細管現象です。 - 跳ね出し現象
下方の横管の接続部分に水が満水しているときに、一気に立て管の水が落ちてきた場合、立て管内が高圧になり、連続して水を押し出してしまい、水がなくなります。この現象が、跳ね出し現象です。
このようなことがおきると、トラップに水がなくなり、そこから、異臭やゴキブリなどの虫が侵入します。
では、これを防ぐには、どうしたらよいでしょうか?
オフィスの快適な室内環境の維持のため、次のようなことに注意してください。
- 長期休暇の前に、しっかりとトラップに水を流す
- トラップ内に何かが詰まっていないように、点検を行う
- トラップにひっかかるようなものを流さないように注意する
- トラップにあまり激しく水を流さないようにする
このようなことを心掛けると、異臭や虫から、オフィスを守ることができます。
以上、お役にたてれば、光栄です。
続く